大河の一滴

面白い催しを行なっている友人がいます。「チャリティ餅つき大会」と言う催しです。日本の餅つきをアメリカに住む人々にも体験させ、出来上がった餅を三個二ドルで買って貰い、売上金の全額をアフリカやアジアの子供たちに送ろうという趣旨です。

餅つき以外にも空手や剣道のデモンストレーションや音楽演奏、そして小さい子供たちを楽しませる催しが行なわれました。天気にも恵まれ、なかなかの人出でした。一般アメリカ人、日系アメリカ人、日本人駐在員家族など参加者はいろいろでした。

昨年が第一回目で今年が二回目でした。不動産業をいとなみながら、地域社会への貢献とささやかながらでも世界の子供たちに役立ちたいと言う思いで始めたそうです。催しは二十名ほどのボランティアや彼の会社や協賛する企業からの材料提供や寄付で支えられています。

従って経費を引く事はなく、売り上げの全額は友人が親しくしている牧師さんを通じて日本国際飢餓対策機構に寄付され、そこから子供たちに送られます。昨年の売り上げはバングラディッシュの小児病棟の栄養失調の子供たちに送られました。

今年はウガンダの「逃れの家」の少年・少女に送られるそうです。同国では反政府軍が兵卒補充のため少年を拉致し、少年兵にしたてており、また幼い少女達も拉致され兵士の世話などさせられているそうです。虐待や強姦なども珍しくないようです。彼等が反政府軍から逃れ、保護される場所が民間支援団体によって運営されているそうです。

海苔巻きと黄粉餅とあんころ餅を一個ずつかじりながら、私の餅代とささやかな額の寄付金がウガンダの少年・少女を守るための団体に届く姿を想像し、私はこの日の青空と同じように、ちょっぴりちょっぴり澄んだ気持でした。本当にささやかな催しですが、このような一滴の行動が、うんと集れば、大きな大河となりえます。まずは一歩の行動が大切なようです。(終わり)

[鶴亀 彰]

 

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