ストーリー

序章 潜水艦同士の死闘

太平洋戦争が始まってすぐの1941年12月24日、日本軍の大型駆逐艦を撃沈して歓喜していた連合国軍・オランダ海軍潜水艦K-16は、ボルネオ沖で日本海軍の潜水艦伊166に撃沈される(乗組員36名全員が戦死)。その約2年半後の1944年7月17日、伊166は連合国軍のイギリス潜水艦テレマカスに撃沈され、乗組員88名がマラッカ海峡に沈んだ。その中には、当時3歳だった著者の父、鶴亀鶴一機関長(当時38歳)もいた。

第一章 モニュメントバレーの誓い-アメリカ-

「沈み行き潜水艦」の岩還暦を過ぎ、在米期間も40年近くなった著者は、偶然知り合った日本人老夫妻の思わぬご尽力により、父が最期に乗った潜水艦・伊166の情報を手に入れる。59年を経て初めて父の本当の命日や戦死した場所を知った著者は、命日の7月17日、妻とともに太古の自然が残るモニュメントバレーに向かう。そこで奇遇にも「沈みつつある潜水艦」と呼ばれる巨岩に案内され、マラッカ海峡に沈む父と潜水艦を訪ねることを決意する。

第二章 父を求めて-日本-

平川さんと植田さん著者が出会った日本在住の80歳の老紳士と、彼の後輩で78歳の協力者、そして62歳の著者、3人合わせて220歳の調査チームは、伊166の沈没地点や、戦意高揚映画「轟沈」に出演した父・鶴亀鶴一の姿を探す。訪日し、厚生労働省や防衛庁(現・防衛省)防衛研究所戦史資料室などを訪れた著者は、父の生きた痕跡を次々に発掘。父が20歳で佐世保の海兵団に入団してから38歳で戦死するまでの記録も入手できた。

第三章 黄金の輝き-マラッカ海峡-

マラッカ海峡の夕日父の乗った潜水艦、伊166がイギリスの潜水艦テレマカスに沈められた地域を特定し、著者は妻とともにマレーシアのクアラルンプールに飛んだ。父の眠る場所が近づく中、著者は父なきが故に味わった子供のころの苦労を思い出していた。地元の有名ヨットクラブの思わぬ協力で59年振りに父との再会を果たし、赤いブーゲンビリアの花を捧げた著者は、その帰路、黄金の輝きのような夕焼けの中で不思議な体験をする。

第四章 驚きの出会い-オランダ-

オランダの海軍墓地父と再会を果たした著者はアメリカへの帰途、オランダに立ち寄り、潜水艦の慰霊碑に献花をしたいと考える。オランダの潜水艦K-16は、著者の父が乗った潜水艦伊166にボルネオ沖で撃沈され、1941年のクリスマスに乗組員全員が戦死していた。紆余曲折を経て、不可能に思われた突然の献花は海軍基地内でささやかに果たされる。その晩、K-16乗組員の遺族から「自宅に招待したい」というメールが届き、著者は迷う…

続きは書籍でお楽しみください。